3と1と1の並びを見ると、思い出す1冊の本があります。
いとうせいこうさんの「想像ラジオ」
この本を読む前の私は、できれば起きて欲しくなかったことに対して「忘れないでほしい」という声が多いことに疑問を抱いていました。
嫌なことは忘れてしまえばいい。
それなのに何故忘れられなくないのか。
そう思っていた時にこの本に出会って腑に落ちたというか、自分の浅はかさに気づくことができました。
もう同じ時や空間を過ごすことができないとしても、"想う"ことで共に未来を築けていける。
誰かが誰かを想う時、それは、どちらが多く悲しいとかどちらが多く寂しいとか苦しいとか、ただ一方の行為ではない。
「元気かしら,今頃笑っているかしら〜」なんて考えている時にまさに、ラジオのチューニングを合わせるように声を、想いを、発信する人と受信する人が繋がれる。
実際に生きていれば、お仕事のこと、お金のこと、人間関係のことで頭がいっぱいになる。
四六時中、誰かをずっと忘れずにその人のことを想いながら生活するのは難しい。
そんな中でふとチューニングを合わせる時、そんな時はきっと向こうからも声があるから。
もう過去や、思い出しかないと思っていた《今まで》に、《これから》が続いていける方法が、"想う"ということ。
もう側に居なくて、すぐには会えそうにない人と共に、一緒に、歩き続けるには、忘れてしまわず、"想う"ことが唯一、その人と今を共に過ごす方法。
だとしたら、「忘れないで」と言われる意味も分かるなぁと。
読んだあと、ふっと空を見上げてしまう、そんな一冊です。
Sae Bon Vivant
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